メリットだけを示して誘導するやり方はもう古いと思うけど2008年03月16日 05時50分45秒

アンケートにまつわる話がもうひとつあります。

最近うちの周りで自治会をつくろうかという話が持ち上がっています。
と言うのも、うちのブロックはこの2~3年に20軒くらい新しく家が建った区画で、いま町内会も自治会もなんにもありません。
それを、家を建てたハウスメーカーが間に入って、自治会をつくるかどうか、各家庭の意向を聞いて話を進めていこうとしています。

先月、そのアンケートが配られました。
選択肢は3つ。
 ・隣の自治会に入れてもらう
 ・新しく自治会をつくる
 ・自治会なんていらない

うちは、
 ○自治会はいらない
 △自治会を新しくつくる
 ×隣に入れてもらう

と順位付けして、あとは要望をいろいろ書いて返しました。
「いらない」を選んだ理由はいろいろあって、全く反対しているわけではないのですが、それはまた機会あれば書きます。
自由回答欄はなかったのですが、空きスペースにいろんなことを書いて返信しました。

そして昨日、その「アンケート結果」が届きました。
結果は、自治会に反対したのは2軒で、あとは自治会賛成。
で、入れてもらうか新しくつくるかは半々くらいだったようです。

資料を見ると、そのハウスメーカーの担当者の方が市役所や隣の自治会の会長さんのところに話を聞きに行って、市からは新しくつくるとすればだいぶ労力がかかってリーダーの統率力が求められるとアドバイスされ、隣の会長さんからはその自治会に加わることは歓迎ですというようなコメントをもらってきたようです。

そして、そのメーカー担当者の方が、隣の自治会に加わることがいいと思いますというようなことを書かれて、資料にされていました。


どっちでもいいんですけどね。
だけどちょっと気になったのは、その担当者の方の資料の作り方。

アンケート結果を示したあと、「隣の自治会に加わるメリット」と「隣の自治会に加わらないことのデメリット」を書いて、「どのようにお考えですか?」と僕らに尋ねています。

「隣の自治会に加わるメリット」も「隣の自治会に加わらないことのデメリット」も同じことですよね、裏返しなだけ。
でも普通にさらっと読んだだけでは、実はそれに気づきにくい。
(これが問題!)
隣の自治会に加わった方が良さそうだなって漠然と感じてしまう。

その資料をつくったハウスメーカーの担当者の方は営業の方。
営業の人が資料をつくるとこうなってしまうんでしょうかね。
いいことばかりを示して結論を誘導する。
もしかしたらつくっている本人ですらそれに気づいていない可能性もあります。
(そうだとしたらこれも問題!)
意図的ではなく、それが本人にとって当たり前の仕事のやり方だったら、自分の仕事のやり方に疑問は持たないでしょうから。

僕も仕事でいろんな選択肢を提示するときがありますが、いまどきもうメリットだけを強調する資料はつくらないです。
メリットとデメリットを両方示して、その上でどれを優先するかを議論して選択してもらいます。
メリットばかりの認識では、あとで「そんなこと聞いてないよ」ということが必ず出てきます。
「不信」に一転することだってあります。
いろんな場面で学習してきました。


アンケート結果の示し方もいろいろあるということですね。
担当者の技量によってわかりやすさだけでなく、結論も変わってしまう。
資料をつくる側も資料を読む側も注意しないといけませんね。