冲方丁、桜木紫乃、楡周平、村上春樹、長岡弘樹、古処誠二2017年02月19日 14時00分28秒

天地明察 冲方丁
江戸時代、将軍家の囲碁打ち、数学が得意なことが知れて、暦の改変事業を担うことになる。
塾に顔を出すととんでもない数学の頭の人がいることがわかる。
日本の数学とか暦とかの歴史の一端がわかって面白い。
ある意味歴史小説、知識が面白く深まり◎。すばらしい。


蛇行する月 桜木紫乃
釧路の高校でうだうだ過ごす女子4人。
卒業して大人になってそれぞれの人生が進んでいく。
高校時代に先生に告白してふられ、札幌に出るも職人と駆け落ちしたひとり。
幸せと感じることって何なのかじわっと考える。
言葉にしにくいやさしさを感じられて◎。すばらしい。


再生巨流 楡周平
セールスドライバーが売りの運送会社、これまでアイデアを出し続けてきたやり手営業マンが社内人事で外された。
同じ頃に、プロ野球入り目前で故障して配送運転手になった若手社員と会い、思いついたアイデアの実行に進む。
最後、結末が意外だったけど面白くて○。


女のいない男たち 村上春樹
村上春樹を読んだのはいつ以来だろう。
短編集。
高校時代に好きになった男子の家に空き巣に入ってちょっとしたものをもらって、そのかわりにちょっとしたものを置いてくるという癖があったことを女が言い出す「シェエラザード」が面白い。
ただ、いまいち頭残らず普通で○。


傍聞き 長岡弘樹
短編集
「傍聞き」とは「漏れ聞き効果」だそうで、何かを直接言われるのではなく、別の人に言っているのを立ち聞きのように聞いたほうが信じるということだそうだ。
小説としてはいまいち乗れず△。


死んでも負けない 古処誠二
祖父、父、自分の男三代で暮らす。
祖父はビルマの戦時体験で封建的。
何にもビルマの体験を反映させて押し付ける。
この作家さんのほかの作品と違って軽くてエンタメ。
楽しく読めて○。

小野寺史宜、神田茜、相沢沙呼、奥田英朗、畑野智美、海野碧、小嶋陽太郎、呉勝浩、両角長彦、前川裕、中嶋隆2017年02月12日 16時59分31秒

つづき
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君を待つ 小野寺史宜
卒論提出がぎりぎりになり、その電車に乗れなければ提出時間に間に合わない事態となるが、乗り遅れてアウト。
留年して内定企業もダメで、1年遅れで別のところに就職する。
が、乗り遅れなければ乗っていた電車は事故で、しかも乗っていたであろう場所にいた人が亡くなっていた。
もうひとつの偶然も面白く○。

まゆに雪 神田茜
北海道の田舎の女子高校生、たくましい容姿を気にするも、楽しい高校生活を送る。
温泉旅館のバイトに誘われ行ってみると客に同級生がやってくる。
応援したくなる感じで○。

プリーツ・カースト 相沢沙呼
高校生女子、スカートの長さがそのままクラスのグループの序列になる。
長いスカートの中でもダサい女の子が笑いのターゲットになる。
その間で揺れる子もいる。
あるんだろうなと思いながら読んで○。

手紙に乗せて 奥田英朗
母が亡くなってから、父親はふさぎ込みがちになる。
それを会社の上司に相談すると、その上司が自分の経験と重ねてアドバイスをくれる。
男の優しさで◎。

正雄の秋 奥田英朗
大手機械メーカーの部長職、同期との昇進レースに負ける通告がくる。
出世欲が強いわけではないがやはりショック。
大きな会社での出世争いってどうなのか。
ただ、この世代、考える幅をもつ余裕が必要とわかる感じで◎。

瞬間イドウ 畑野智美
総務部で働く女性「瞬間移動というやつ」ができる。
あまり入り込めず△。

ジユウ時間 畑野智美
中学生女子、ちょっとした念力が使える。
それをテレビ収録に使うことになる。
面白さがいまいちわからなく△。

三月兎 海野碧
横浜の車販売店に勤める女性、控え目で目立たないが、その日、店に強盗が入って自分が矢面に立つ。
喜劇なのかと思って○。

空に飛び蹴り 小嶋陽太郎
女子高生、痴漢されて護身術を学びたいと友達に言うと、デパートの上でひたすら蹴りしてる人がいいと推される。
現実感がないなと思いなが読んでいたけど、意外と面白く○。

カキーン 呉勝浩
警察官、スナックから30万盗まれた事件に関わることになる。
高校野球がからむ。
こういうこともあるのだろうと思うがお話として面白いかは別で△。

妻を差し出す 両角長彦
ヤクザからの借金で、妻に頭を下げて一日だけ彼らがいるホテルに行ってくれるよう頼む。
その日のあとから、妻の雰囲気がいいように変わる。
全く予想外の展開も、理解が追いつかず△。

しりょうのふね 前川裕
東京ドーム近くのウインズのエクセルフロアでいつも隣に座っていた男が姿を現さなくなった。
そして幼女殺害事件の容疑で捕まるも自殺したと知る。
普段はこの手の話は読まないのだが、読んでしまったものはしょうがない。
なんとも言えず△。

善意の風景 前川裕
隣人の世話焼き女性が頻繁にやってくるようになり、うっとおしいと思っているところで、さらに図々しくうちに上がるようになり、自分がその女性からもらった野菜をそのまま捨てているのを見つけられ、悲しがられたのがうっとおしく、とうとう殺してしまう。
殺すまではいかないまでもこんなことはあるかもと思って○。

山の端の月 中嶋隆
江戸時代、藩主の若君はわがまま、その若君の面倒を見ることになり、一人息子が若君の遊び相手となる。
江戸への将軍拝謁に向かう時の大井川で出来事が起こる。
上は絶対という考えが正しい時代、読むのも悲しいが○。

久坂部羊、萩原浩、櫛木理宇、前川裕、朝香式、両角長彦、武田綾乃、中村理聖、野中ともそ、額賀澪2017年02月12日 14時39分59秒

またばらした小説誌から。
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嘘はキライ 久坂部羊
内科院長、相手が嘘をいうと後頭部から煙が立ち上がるのが見え、嘘を見抜ける。
同僚から、昇進争いに嘘を見抜ける力を使って助けてほしいと頼まれる。
ほどほどの嘘はおそらくそれほど悪いことではない、ということか。
潔癖を良しとしない感じがほどよく○。

成人式 萩原浩
中学生のひとり娘を交通事故で亡くして5年、夫婦はできるだけそれに触れないで暮らす。
痛々しくて読めず△。

いつか来た道 荻原浩
16年前から母に会っていない女性、弟から母と会ってほしいと連絡が来る。
認知症。
リアルでこれも痛々しい。
ただ、じわっと考えさせられる感じで○。

住めば都 櫛木理宇
スーパーの店長、転勤でやってきた店は古い住民と新興地域の住民とのいさかいが絶えないところにある。
些細なことが大きな問題になって店長にのしかかる。
何もかも捨てて逃げるのはひとつの方策だが。
いまいち開き直りきれない感じが△。

ダンス教室の亡霊 前川裕
予備校講師、かつて同じように予備校講師をしていた友人の妻から道で声をかけられ、彼女のダンス教室に通うようになる。
彼女と踊ることに惹かれるも、あとから教室に来るようになった別の女性が自分と踊りたがってうまくいかない。
展開が急すぎな感じもするが○。

三秒ルール 朝香式
大学卒業後も書道教室しながら書道を続ける男性、父親の再婚相手は、じっと見つめられると考えていることがわかられてしまう。
なので三秒以上は見つめないようにとルールを決める。
雑な女性の何となくの魅力がわかるようで○。

頼れるカーナビ 両角長彦
人を轢いていしまいあせったときに、カーナビが逃げるようにそののかす。
ルートだけでなくアドバイスもする。
片手間な感じで△。

白線と一歩 武田綾乃
放送部の高校生女子、NHKのコンテストが近づくが、自分は過去の失敗を引きずって出場をためらっているところに、部長から下級生の面倒を頼まれる。
下から見たときの上のふるまいは大人も子供も一緒で◎。

桜のおもいで 中村理聖
和菓子屋の一人娘、和菓子職人の祖父が亡くなったあと、母は春になると「桜狩」と言って街中の和菓子屋さんを行脚するにようになる。
その母が亡くなって、その行動が何だったのか疑問を持つ。
和菓子が食べたくなる感じで○。

て、ん、て、き。-スカ- 野中ともそ
20代後半女性、電車で知らない男の腕を「いい血管だ」とつかむ女性をみかける。
その後、体調不良のために点滴に行くと、そこにその女性がいた。
現実離れしているけどこんな人がいても面白いかなと思い○。

て、ん、て、き。金の雪 野中ともそ
親子三代、金沢で蒔絵師として働く男性、東京に百貨店の催事でやってくるも、体調を崩し病院へ。
そこで点滴女性と会う。
点滴より蒔絵に触れられて○。

女に溺れるほど若くなく 額賀澪
20代後半の劇団女性、相手役の男とともに、演技になにか足りないと監督から指摘される。
この年代の女性が考えることかと○。

塩田武士、相沢沙呼、こざわたまこ、両角長彦2017年01月03日 20時28分13秒

つづき。
小説雑誌をばらして読みふける。

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仮縫い 塩田武士
女っ気のない高校男子5人、つるんでエロネタで盛り上がる。
ある日、紳士服の仕立て屋さんに帰っていく美少女に目を奪われる。
10年後、居酒屋で飲み始めたらひとりがニュースをもってくる。
5人のうちの最も冴えなかったひとりが結婚するという。
若い頃の恋愛を思い出す感じで、文章のテンポもよく◎、読後感も◎。すばらしい。


雨の降る日は学校に行かない 相沢沙呼
女子中学生、牛乳とワックスの匂いが入り交じった雑巾を持たされ、くさいと笑われ、クラスみんなから阻害される。
それでも我慢して学校に行き続け、保健室の先生と唯一触れ合いかけるも、やがて登校を断念。
応援したくなる感じで◎、読後感も実は◎。すばらしい。


放課後のピント合わせ 相沢沙呼
女子中学生、帰宅後、ネットに自分のきわどい写真をアップして、コメントで群がる男たちの数を見て満足する毎日。
ある日、同じような女がネットに登場したことでアクセス数が減少、学校での写真希望というコメントを見て、挽回のために学校に出かける。
エッチな内容で進むのかと思いきや意外な展開へ。
救われる感じで○、読後感も○。


死にたいノート 相沢沙呼
女子中学生、死にたいと毎日ノートに書き綴る。
そのノートをあろうことか学校でなくす。
誰かに見られたら大変と探し回ると、クラスの責任感が強い女の子が拾って、これは誰のだろうと心配顔で見せられる。
早く言い出ししたらいいよと本気になる感じで○、読後感も○。


宇宙人の迎える朝 こざわたまこ
学生や社会人が入り交じる中学校の同窓会、おちゃらけていた彼が来ないことを誰も触れない。
幼なじみの彼は、その彼が来れないのが自分のある行動のせいだと背負う。
中学の頃、高校の頃、思い出すといろいろある。
そんな感覚を思い出して○、読後感も○。


姉妹みたいな こざわたまこ
社会人女子、閉園間際の屋上遊園地に寄る。
かつて中学生の頃、母親に反抗し、かっこよく見えた母親の姉のところに入り浸っていた。
子供に見える世界、大人にしか見えない世界、恋愛絡めば人それぞれ。
そういう経験を重ねて大人になるということを感じられて○、読後感は△。


クライベイビー、シスター 櫛木理宇
かつて憧れだった9歳上の姉が裁判所で殺人容疑の公判を受けている。
罪に対する後悔よりもっと重要な後悔があるという。
決して感動する話ではないけれど何かが残る。
何と言ってよいかワカラナイけど◎、読後感は△。


いれかわる 両角長彦
52歳男、31年間収監され死刑が執行される日に、実は自分が犯人ではないと言いだす。
最後の最後まで、結局どっちなのかわからない。
ねじまがりすぎな感じだけど○、読後感も○。


心に残る一冊 両角長彦
あるお母さん、母親友達の振る舞いに感心し、子育ての秘訣を聞く。
すると読書体験だと言う。
ただ普通の読書ではないことをほのめかす。
終結までのスリルが良くて○、読後感は△。


餓死室 両角長彦
名のある女優、息子の素行に手を焼き、地下室で心中を図ろうとする。
息子は言葉であの手この手と母親の決心をくじこうとする。
心の動きが微妙で良く○、読後感は△。


効いてくる 両角長彦
若い男が病院に駆け込んできて、女に毒を飲まされたという。
でも体には症状が現れていない。
そして早く仕事に戻らないと、自分が担っている特殊な役割が果たせないという。
やや現実のようには想像できないけど○、読後感も○。

真保裕一、小川糸、桜庭一樹、本多孝好、乾緑郎、友井羊2017年01月03日 14時35分16秒

年末年始、何をしようかとふと思いついたのが、たまった小説誌の整理。
ばらして、もう一度読みたいものを抜き出してみた。
もう一度と言いつつ、読んだ記憶のないものも多数あり。
しかも面白い短編がたくさん混ざっていた。

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ダブル・フォールト 真保裕一
若手弁護士、金銭絡みで金融業者を刺し殺した町工場社長の弁護に抜擢される。
過剰防衛で罪を軽くする見通しが立つが、ずっと頭に何か引っかかり続ける。
誰のために仕事をするのか、その仕事が誰のためになるのか、正義感が自分の浅
はかさの故なのか、自分の仕事を考えさせられる場面が随所にあり。
読み応えあり◎、読後感も◎。すばらしい。


にじいろガーデン 小川糸
6歳のひとり息子を育てる離婚しかけの主婦、駅で自殺しようとしていた女子高
生に一目惚れ。
息子を連れて駆け落ちし、女二人、男の子ひとりで田舎生活を始める。
レズ理解できず△、読後感は微妙○。


ロボトミー 桜庭一樹
元ボーカルのかわいい彼女と結婚したが彼女の母親が全く子離れせず、結婚式で
泣き続け、毎日娘に電話をかけてきて娘に構い続ける。
ある出来事のあといい加減にしろと殴りつけたら彼女は起き上がらなくなった。
何とも言えず悲しくやりきれない。
感動とはまた違うけど◎、読後感○。


ビザール 桜庭一樹
25歳女性、ツイッターに出来事を書いて他愛もないやりとりをする日常。
転職した会社で朝、隣の部署のおじさん社員と親しくなり、ツイッターのことも
話してしまう。
少し刺激が足りない感じも○、読後感は△。


言えない言葉 本多孝好
小4の少年、友達から「死神狩り」に行くぞと言われたが、標的は中学生の女子。
後をつけるも見つかり自分だけ捕まり、なぜ尾行したか、なぜ石を投げたか問い
詰められるが、石のことは知らない。
子供の頃、いろんな企みをしたことを思い出す感じで○、読後感も○。


溜池のトゥイ・マリラ 乾緑郎
夏休み、息子と団地の近所の神社のお祭りに行くが、最近、テキ屋が締め出され
てきちんとなったお祭りに、昔の縁日のような雰囲気がなくなった寂しさを感じ
る。
奥の池ではヘラブナ釣りの愛好者が自分ら以外の釣りを禁止する立て札を勝手に
立てて子どもたちを締め出す。
時代が変わり、社会がきちんとすることでなくなることがいろいろある。
いまの時代、昔の時代のお祭りが想像できて○、読後感も○。


一人ぼっちの王国 乾緑郎
女子高生、小説を書いて締め切りギリギリに投稿しようと郵便局に駆け込むも、
窓口のおじさんが余計なやりとりを始めてイライラして送れず。
大学生の兄が引っ越しバイトで近くの団地に行くと、大量の書きかけ小説を処分
する部屋だったと言う。
切なくなる感じが○、読後感も○。


団地の孤児 乾緑郎
認知症を患った母親の介護のため勤め先を辞めて弁当屋でバイトし始めた男性、
団地の自治会副会長を断りきれずに引き受ける。
自治会の会合で、団地の片隅の古ワゴン車に数年も住み着いている男が不審で何
とかしないとと話題になり、訪ねる役がまわされる。
きちんと思い出せない自分の過去の記憶が少しずつ明らかになっていく。
時代を想像できて、感傷的にもなり○、読後感も○。


シュークリームが膨らまない 友井羊
吃音症でいつも言葉に詰まり同級生との会話が苦手な女子高生カナ、料理が得意
な同級生男子から誘われて調理実習室でのお菓子づくりの講習に誘われる。
教え通りにつくったはずのシュークリームの生地がオーブンのなかで膨らまない。
くやしくて自宅で再びやってみるときちんと膨らむ。
そこである可能性に気がつき仕返しを思いつく。
理を持ってきちんと仕返しするところが痛快で○、読後感も○。

”チョコレート”が出てこない 友井羊
調理実習室からチョコがなくなった。
前日の鍵当番だったカナが犯人として疑われる。
チョコの性質からあることを思いつく。
チョコの知識がちょこっとつくとこで○、読後感も○。

カトル・カールが見つからない 友井羊
人探しを頼まれる。
おばあさんが街で女子高生に親切にされたが、名前を聞いたら駆け去ったという。
手がかりはアップルパイ。
種明かしが、それは想像できないなと思いつつ○、読後感も○。

クッキーが開けられない 友井羊
保健室登校する女子高生のところに宅配でクッキーが届く。
でも差出人を見ただけでカナにあげると渡す。
クッキーにまつわる出来事がこの女子高生の保健室登校のきっかけだったことが
わかる。
根がやさしい女の子に気持ちが和らぎ○、読後感も○。