暗い顔をつくって仕事をするな2008年05月06日 05時48分19秒

「上司の哲学」 江口克彦 PHP研究所
「部下の哲学」 江口克彦 PHP研究所
「人を導く」  江口克彦 PHP研究所

実は数年前、いわゆるビジネス書をまとめて読んでいた頃がありました。
僕は本と言えば小説か雑誌くらいしか読んだことなかったのですが、電車でスーツ着たサラリーマンがその類の本を読んでいるのを見て、どんなことが書いてあるんだろうかとふと気になったのがきっかけで、本屋に行っていくつか買って読んでみました。

何となく毛嫌いしていたんですよね、ビジネス書って。
仕事のやり方を上から目線で指南されるような、たぶんそんな本ばかりなんだろうなと想像していたので。
確かにそういう偉そうなだけの指南書もありましたけどね。
そんなのは途中で放り出しました。

この江口氏の本は納得しながら読んだところがとても多かった記憶があります。
書いてあることひとつひとつは覚えていないんですが、仕事するときの姿勢のあるべき姿が読んでいるうちにすっと入ってくるような、拒絶感なく受け入れられるような感覚で読んでいました。
ちなみにこの江口氏は松下幸之助氏から直接指示・指導を受けながら仕事をされていたそうで、両氏のやりとりなんかもふんだんに書かれています。

3冊も読んで、でも今となっては何が書かれていたか具体はほとんど覚えていないんですが、ひとつだけ妙に記憶に残った話があります。

「暗い顔をつくって仕事をするな」

いつも難しい顔をして、まわりから気を遣われるように振る舞っていたとしたら、それは思い上がりでしかないと。
まわりから見える印象をつくるんだったら、難しい顔で孤高さを装うのではなくて、明るく愛嬌をもって接しやすい人になりきる努力をせよ、みたいなことが書かれていました。
(記憶で書いたので言い方は正確ではないですが)

人間ですから、感情が表れるのは当然で、真剣に仕事していればその起伏があって当たり前だと思います。
だけど、そこで頑張って愛嬌を持てるか。
愛嬌の努力が試されていると言っていい。

と言う僕自身も愛嬌をなくした時期はあります。
以前いた職場で、とにかく忙しくて超深夜生活をしていた頃、直接の上司にはホント無愛想な表情をしていました。
拒絶の表現ですね。
上司から声かけられたときに愛嬌持って答えたら、また何か頼まれる。
無愛想にして頼まれにくい雰囲気をつくりだす。
上司は嫌だったでしょうね、拒絶感のオーラありありで、それでも僕に頼まざるを得ないことはどんどんでてくるので、しょうがなく声をかける。
僕も頑張って笑顔で受け入れれば良かったんでしょうけど、やっぱりもうそんな余裕はなかったなぁ。

あとは札幌に戻ってきてから、大学に再び社会人ドクター課程として通い出した頃かな。
自分がやるべき勉強が全く追いつかなくて、テレビをやめ、読書もやめて、友人の誘いも断った。
誘いを断るというのはつまり「飲み会あるから来ませんか」と誘われたときに「あ、行く行く」と簡単に答えず、「ゴメン、俺行かない」と返事するということです。
これが最初は簡単には言えなかった。
誘ってくれる親切を気にして「ちょっと考えるわ」とお茶を濁して保留にしておいて、事情があるという雰囲気をつくる。
でもそのうち、すっと「行かない」って言えるようになるんですね。
で、色んなことを断っているうちに開き直ってくる。
愛嬌って頑張って捨てられるんですよね(変な言い方ですが)。

でもこれは仕事で追いつめられた無愛想とはまた違うんです。
主体的な無愛想、積極的な無愛想とでもいうのか(これも変な言葉だ)。
自分でやりたいことがあって、その時間を確保するために、優先順位の低いものを捨てていく。
テレビも読書も、そして愛嬌も。

ちょっと話がそれてしまった。

それでもやっぱり仕事で人と接するときは、多少の努力をして愛嬌は持っておいたほうがいいと思います。
ひとりで作業に没頭しているときはいいですけどね。
ちょっとした言葉を交わすだけの時でも、愛嬌に気を配る。
相手に必要以上に気を遣わせないようにするというのは、仕事での基本姿勢なんでしょうね。