子供服づくりの社長さんの話2010年02月13日 09時10分00秒

テレビで見た話。
ある子供服づくりの社長さんの話である。

倉敷の人で、手づくりで子供服をつくって、大阪のお店で安く直販して大人気だそうだ。
1995円という安さ、丁寧な仕上がりで、つくっては売れるという状態とのこと。

安さと品質が両立することからくりは、内職のおばちゃんだそうだ。

倉敷はもともと繊維業がさかん。
かつては日本の学生服の大多数は倉敷で生産されていたと僕も聞いたことがある。
それで倉敷には縫製に長けた女性達がたくさんいるわけで、結婚とかで工場での作業員を辞めた女性達に、内職として子供服の縫製をしてもらう。
もうおばあちゃんという歳の人も多くいて、でも自分のミシンの技が頼りにされて、しかも自分が縫った服を孫が着るという喜びもあって、嬉しくて仕事をするのだ。
そして、パートのおばちゃん(おばあちゃん)なので、人件費も安い。
こうすることでMade in Japanの子供服ができる。

なるほどなぁと思った。
こういうやり方を思いつく人が成功するのだろう。

だけど、うまくいき始めると、パートのおばちゃんは時給上げてと言わないのかなぁ。
パートのおばちゃんの安い時給で1995円という安さでの生産ができているわけで、それぞれの作業員が時給アップの望みを言い出したら、1995円という価格設定が維持できなくなるかもね。
それともおばちゃん達が時給アップを言い出したら社長さんは「ほかにもできる人はたくさんいるからもういいよ」と言っちゃうのだろうか。
それとも給料に執着しないおばちゃんに頼むのがミソなのか。

と言うのも、このあたりのことは僕もよく考えることで、部署のメンバーも含めて自分が仕事をお願いする人たちには、できるだけ給料の見返りもしたいと思う。
働く喜びのひとつとしてね。
お金が全てとなってがつがつになるのはまた違うのだけど、お金は出せないからほかのやりがいを見つけてと言い切りたくもない。
インセンティブという言葉もあるけれど、お金というインセンティブを最初から諦めさせたくはない。

だから、その倉敷の社長さんの立場だったら、1995円で製品を出し続けることも大事だけど、僕なら成功の見返りにパートおばちゃんの時給を上げてやりたいということと、でも製品の価格設定も下げたくないというところですごく悩むような気がする。

そこで悩む人は利益を出し続ける経営者としては不向きなんだろうかね。
お金が欲しいならほか行って稼いで、とか言えるくらいの人じゃないと厳しい世の中を渡っていけないのかもしれない。

何かね、あの倉敷の社長さんが番組ではとにかくうまくいってる人という扱いだったので、別の見方もあるよなと考えたことを書いておきたかったのよ。