本:リーダーシップからフォロワーシップへ 中竹竜二2009年03月14日 10時05分34秒

最近読んだ本から

『リーダーシップからフォロワーシップへ』 中竹竜二 阪急コミュニケーションズ

サブタイトルに「カリスマリーダー不要の組織づくりとは」とある。
著者の中竹氏は早稲田大学ラグビー部の現監督。
この方が書いたリーダーシップ論なんだけれど、リーダーシップよりフォローワーシップが大事だと提唱する。

フォロワーシップとはほとんど聞いたこともないような言葉なんだけど、僕なりに解釈して簡単に書くと、リーダーがりりしく組織を引っ張るのとは逆に、メンバーが下から主体的に行動することで組織のスタイルをつくっていくという方法。
ちなみにフォロワーとはここではリーダー以外の人としていて、組織にはリーダーがいて、リーダー以外の構成員(フォロワー)の支えで成り立っているという見方だ。

組織の目標をリーダーがばしっと決めて、メンバーに「あなたのやるべきことはこれ」と伝えることで、組織をリーダーが引っ張っていくのがリーダーシップ。
逆に、全体の方向性はリーダーが決めつつ、その中でメンバーそれぞれが自分のやるべきことは何か、チームに対して貢献できる役割は何かを考えて実行する。
これがフォロワーシップなのだ。

名門の早稲田大学ラグビー部はある時期低迷していたのだけれど、OBの清宮氏という超カリスマリーダーがやってきて、チームを改革することで常勝チームに復活させた。
そのカリスマ清宮氏から監督を引き継いだのがこの中竹氏。
清宮氏とは対照的に自分にカリスマ性を求めず、選手の自主性を最大限に引き出す指導で学生王者を再び奪った。

成功した両極のチームづくり。
はたしてどちらがあるべき姿なんだろうか。

僕は実際に同じような経験をしたことがある。
前の会社に、当時、超カリスマ部長がいた。
支社の札幌で働いていた僕は東京の本部にいるそのカリスマ部長に憧れていた。
何とかそのカリスマ部長がいるうちに、どんなリーダーシップで部署を引っ張っているのかを見てみたいと思っていた。
そして、幸運にも転勤願いが通って、その部署に移ることができた。

身近で見たその部長の仕事は、想像以上にカリスマだった。
できる管理職は生き生きとしていて、ペースについて行けない管理職もそれはそれで精一杯の役割を担おうとしていた。
ぺーぺーの僕にとっては雲の上のような存在で上の人たちのやりとりを眺めるだけだったんだけど、技術士をとったらその部長がいろいろ声をかけてくれるようになって、少し認めてもらえたのかもと思ってとても嬉しかった。

そのカリスマ部長が異動となり、次についた部長が全然タイプの違う方だった。
カリスマ性がないというわけじゃないんだけど、強烈にまわりをぐいぐい引っ張っていくというタイプではなく、まわりの人達の考えをじっくり聞きながら、進むべき方向を一緒に考えるという方だった。
それでいて決断はすぱっとしていて、さらに人柄も良く、人望も厚かった。

だけど僕は、正直言うと、最初は物足りなかった。
りりしいカリスマ性に憧れていたので、メンバーに考えを求めるスタイルは、リーダーとしてはちょっとどうかなと思っていた。

それが時間が経つにつれて違和感をもたなくなった。
何より、部長というリーダーに対して誰も顔色を伺うということがなくなった。
僕自身もあまり遠慮せずに部長に考えをぶつけられるし、まわりの人達もそんな感じだった。

長くなったので、続きは次回に。