発した言葉が考えた通りのことなのか2011年07月11日 21時44分12秒

女子サッカーのワールドカップを見ていてさ。
ドイツに勝ったあと、選手が代わるがわるインタビューに現れた。

で、ある選手が「どんなことを考えてプレーしてましたか?」みたいなことを聞かれたときに、
「日本で応援している人達・・・あ、そんなこと考えてなかったな。とにかく全力でプレーすることを・・・」
というような答え方をしたのね(記憶だから正確ではないけど)。

ほんの一瞬だったのだけど、僕はこの人すごいなあって思ったんだ。
ひとつは訂正する勇気。
一度「日本にいる人のことを考えて」と言ったことをわざわざ取り消したら、日本で観戦してる人のことは考えませんでしたってばらしちゃうことになるよね。
訂正しない方が無難だったはずだけど、うそ言っちゃいけないってとっさに思ったんだろうね。

もうひとつは、これが大事なんだけど、考えたことと発する言葉がずれたときに、それを瞬時に自覚できるんだ~というところ。

特に、優等生的な言葉って、相手を喜ばせるにはすごく便利なんだけど、本心で考えているかどうかは実はあやしいということもあるよね。
で、言って相手が喜んだら、自分もいいこと言ったような気がして、言葉に酔って、自分自身が本当にそう思っていたかのような錯覚をする。
もともとお世辞のように言っただけのときでもね。
それに慣れちゃうと、自分が口に出した言葉と実際に考えていることがずれていても、自分で気にならなくなってしまう可能性もある。

よく、「思っていることを言葉にするのは難しい」とか「適当な言葉が見つからない」という言い方をするけれど、これは考えていることがしっかりあって、それを表現するための適切な言葉を選ぶのが難しいということだよね。
油断すると、先の女子サッカー選手のように、何か考えていることがあっても、その考えていることと違うことが無意識に口から出てしまうこともあるのだ。

で、逆の場合があって、それが優等生的な言葉を使うのに慣れた人がやることで、あまり頭で考えていないときに、さっと頭に浮かぶ言葉が先に口から出て、その言葉をむしろあとから自分の考えだと頭で思っちゃう。
考えたことを言葉にするのではなく、言葉が先でそれを頭で吸収して自分の考えだったかのように取り込んじゃうんだね。

ま、どっちでもいいと言えばいいのかもしれないけど、頭で考えたことではない言葉先行の人が言うことは、たいがいはどっかで聞きかじったことの受け売りだったりするから、あまり面白みはないんだよ。

だからね、先の女子サッカー選手のインタビュー聞いて、僕はその人を応援したくなったよ。
きっと自分の考えたことをきっちり伝えようって思う、不器用というか律儀というかまじめな人なんだろうなってね。
でも、その女子サッカー選手、誰だったか忘れちゃった。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://gotoriver.asablo.jp/blog/2011/07/11/5951099/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。