河川の研究と実務の橋渡しができないか?2007年09月28日 22時36分08秒

河川の実務者、すなわち役所やコンサルタントの技術者で、
学会の論文を読める人がどれくらいいるだろうか。

学会の論文は難しい。
特に水理学をベースにした河川の研究論文は数式が難しい。
実際、土木学会の水理関係の論文の多くは、
大学を卒業した程度の専門知識では細部まで理解することは困難だろう。

難しすぎたら研究成果を実務者が使えず、
結果として実際の河川の計画に役に立たないのではないか。
せっかく研究者が理論を構築しても、
実務者が理解して使えなければ世の中に広まらない。
そうして学問と実務がどんどん乖離していく。

工学の研究としてはそれでは片手落ちだと思っていた。
理学ではなく工学ならば、使ってもらえて意味があると。

だけどそれだけじゃないよなと思うようになった。
研究が全て実務者が使えることを想定する必要はないのだ。
研究者のやることが直接世の中に役に立てばいいのだ。

たとえば高度なシミュレーションも、
コンサルタントの実務者に渡さずに、研究者が直接やり続ければいいのだ。
それで直接世の中の役に立つ。
うまくいけば汎用ソフトにして、その時点で実務者に引き継げばいい。

そうなのだ。何も全てを実務者に引き継ぐ必要はない。
研究者がどんどん難しいことをやり遂げていけばよい。

ただ、研究成果を実務へと橋渡しすることも必要だ。
そうしないと実務がどんどん取り残される。
しかも人数は実務者のほうが研究者より圧倒的に多い。
この膨大な実務者がそのレベルを向上させずに
昔の経験則だけで仕事をすませ続ける。
そこに少し危機感を持っている。

研究と実務との橋渡しができる存在になれないか。
おこがましいかもしれないけれど、
そんなことを考えている。