若手技術士が大学へ行こう! という企画2008年01月03日 05時27分43秒

私が所属している技術士会北海道支部の青年技術士交流委員会に年末、ある提案をしました。

それは、若手技術士が大学生や高校生に技術者の仕事の面白さを伝えて回る企画を始めませんかという内容です。

そんな感じのことはずっと考えていたのですが、提案するきっかけがありました。
ある大学の学内誌で読んだのですが、工学部の電気・情報系を目指す学生がいま減少傾向にあるのだそうです。
それも東大工学部の話。
僕は土木系の出身で、土木はもう人気低迷が言われ始めて久しいのですが、情報系までもが人気落ちとは僕は正直驚きました。

いわゆる理科離れ・理系離れのせいもあるとは思いますが、僕はあながちそうとは限らないと思っています。
「技術者の仕事」を知らないだけかなと。
つまり、技術者という働き方を高校生や大学生が実は知らないから、目指す選択肢にあがらないというのが実は大きいんじゃないかと。

実際に僕のまわりには、技術者として充実して働いているという実感をもっている同世代が多くいます。
だけど、そんな姿を社会に出る前の若い人達が知っているかというと、そうでもないように思います。
電車でみかけるとただのくたびれたサラリーマンだし、休みの日は子どもと遊ぶ普通のお父さんだし。
技術者がどれくらい社会の役に立っていて、そして各々がその充実感をもって働いているかということを知る機会が圧倒的に少ない。

理科離れに対しては、大学がサイエンスカフェなどで関心を呼び戻そうと積極的にやっています。

ですが、技術者離れに対しては、実際の技術者が動く方が効果があるでしょうし、また技術者が動かないと誰も手をつけないで放っておかれるように思います。

もうひとつ僕自身の考えとしてあるのは、それを担うのはまさに我々中堅の世代がやるべきだと言うことです。

若い人にとって我々の世代は、頑張ったら自分たちにも手が届きそうな存在として見られます。
なので我々の世代が積極的に動くと最も効果的じゃないかと思っています。
40歳前後でももうすでに遅いという見方もありますが、仕事を俯瞰的に見られて、かつ最前線で実務を担っている世代としては許容範囲でしょう。

ただこの世代が動くことの最大のネックがひとつあります。
それは、忙しすぎることです。
各々が自分の組織に帰ったら仕事が山ほどあります。
睡眠時間を削り、家族との時間を犠牲にして仕事をしている人も多いと思います。
そんな中ではなかなか対外的なボランティアのようなことに手を出しづらいでしょう。

ただ、だからと言っていまこの年齢の時に動かなければ、自分達もすぐに50代、60代になってしまって、そうすると、もう若い人から手が届く年代ではなくなってしまいます。

最初はうまくいかないかもしれませんが、いま始めておけば、5年後、10年後には軌道に乗って、社会のしくみのなかのひとつとしてとけ込んでいるかもしれません。
実際はそれくらいのペースなのかなとも思います。

具体的に何をやるか、実際には大学か高校かに働きかけて、場をセッティングしてもらって、技術者の仕事っぷりを話してまわるということを考えています。

即実践というわけにはいかないと思うので、そのための作戦練りから始めていきたいなと思っています。

技術士会全体や支部くらいで始めようとしても、能書きの議論が先に始まって実働しにくいと思うので、できれば小さなグループで始められるのがベスト。
有志のチームをつくって進めるというやり方もあります。
いずれにしても議論して練り上げていく必要があるでしょう。

技術士会の活動に関わっている人達を見ていて思ったことがあって、それはみんな勉強熱心だということ。
たぶん技術士をとるときに一生懸命勉強して、そこで知識欲、向学心に目覚めたという人が多いのでしょう。
僕もそのひとりかもしれません。

講演なんかに出かけていって話を聴くというのがインプットの学習型だとしたら、自分たちが表に出て自分の経験や仕事の話を伝えるのはアウトプット型、立場は180度変わります。

なので自分達が伝える側に回るというのは最初は慣れず、大層なことのようにも思えるかもしれませんが、たぶん、やってみると実は楽しいんじゃないかなと思います(ここは確信しています)。

今年はこれを軌道に乗せてカタチにしていきたいと思っています。

(技術士会メンバー向けに書いた文章に加筆して掲載しました)