優等生はむしろ負け方を身につける2011年05月16日 19時14分07秒

ある人、かつての同僚なんだけど、とても説明がきっちりしていて、説明のための準備も抜かりがない。
横で聞いていても、周到に根拠を固めて相手に向かうというスタンスが伝わってくる。

だから打ち合わせもたいていは失敗はしない。
平均点以上だ。
本人もうまくいったと満足の顔をすることが多い。

だけど、僕から見ると、いつも全体的な満足感がなかった。
何というか、相手が満足してくれたような手応えというのか、喜んでもらったという実感がないのだ。
僕だけが感じていたことなのかもしれないけど。


優等生なんだ、彼は。
それで、叱られないように先回りして手を打つ。
無意識なのか、意識的なのかどっちかわからないけど、たぶん無意識だね。
自覚してなかったと思う。

それは資料でもそう、言葉でもそう。
資料は、叱られないように根拠づけに気が回る。
説明は、叱られないように予防線を張る。
だから、言葉がどうしても先回りになるし、何か指摘されても、必ず一言の弁解をつけてしまう。

でも本人は自分では完璧でデキル人と思ってただろうなって思う。


たぶん、負け方を身につけていないんだろう。
優等生育ちは特に、自分がデキル人として扱われることに慣れすぎていて、デキナイ人になりかかったら、無意識に挽回しようとするんだよね。

だから自分の言うことを相手から否定されそうになったら、すぐに自分の正当性を説明して間違いじゃないことを示そうとする。

自分が言ってないことを相手が先に言ったら、自分もそれは知ってましたと言って、知らなかったような素振りは決して見せない。

でもね、負けてもいいんだよね。
自分のほうが間違ってたり、考えが足りなかったりしたのなら、ごめんなさい勉強しますでいいんだよ。

決定的なことはダメだよ。
そんなこと知らないでやってたの?ってことを知らないって開き直ったら、あなたに任せて大丈夫?ってことになるから。
でもそこまでじゃなかったら、素直に認めたらいいんだ。

さらにね、そうやって自分の至らなさを認めることで、相手が「自分の指摘で良くなった」って満足感を持つんだよ。

相手を勝たせて、自分は一歩下がる。
これでいいんだ。


たぶん優等生タイプは全勝を目指すからなんだ。
負けの場面はそのまま負けて、でも肝心なところではきっちり勝って、最終的にトータルで勝てばいい。
相手との対等意識が強い人は気をつけたほうがいいよね。

コメント

_ よね ― 2011年05月17日 14時44分28秒

過ちを改めるに、自分から過ったとさえ思いついたら、それで良い。その事をさっぱり捨てて、ただちに一歩前進するべし。過ちを悔しく思って、あれこれと取りつくろおうと心配するのは、たとえば茶わんを割って、その欠けらを集めて、合わせて見るのも同様で何の役にも立たぬ事である。by西郷隆盛

_ かつての同僚です ― 2011年09月13日 01時10分12秒

かつての同僚です(たぶん)。
4か月も前のブログにコメント付けてもなぁ、とは思いますが…

本人は優等生でもなんでもなく(大学時代はかなりの劣等生)、
年齢の割に経験不足なのを取り繕うのに必死なのですが、
そうは見られてなかったという事ですね。打合せのたびに勝った
負けたと考えたこともなく、せいぜいその場をなんとかしのいだ
とほっとするくらい。

そんな中でなぜか、根拠付けに追われる類の仕事がどんどん
回ってきてしまうのも事実。(本人は毎度「もっと慣れている人が
いる中、なぜほとんど経験のない僕に?」と思うのですが)

当然そんな仕事の打合せでは、説明もなにも出来ずに「すぐには
わかりません。すみません」と言うこともしばしば。(あなたが同席
された「その類の打合せ」も何度もあったように思いますが・・・)

向こうから見れば「プロ」のはず。その信頼を損ねる失敗を積む
ほど根拠付けに気を回すようになっていっていく私はおかしい
ですかね?状況を知っているはずの味方(と思ってましたが)
から、ただの負けず嫌いとくくられる事をとても悔しく思います。
(こんな事を書いている時点で負けず嫌いは事実ですけど)

なんだか長くなってきました。あなたが素敵な部下と四万十川
とやらで楽しくやっている一方、客先からの厳しい指摘に耐えて
こんな時間まで根拠整理している社員の存在もお忘れなく。

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