松岡圭祐、東山彰良、藤岡陽子、本城雅人、秦建日子、眉村卓2017年10月14日 19時42分38秒

八月十五日に吹く風 松岡圭祐
太平洋戦争当時、アリューシャン列島を占領してた日本軍がアメリカ軍から攻撃を受け、兵士たちは投降ではなく玉砕の司令を受ける。
それを海軍のある司令官は人の命が最も大事と、しかも奇跡に頼る精神論ではなく気象の分析に基づいた救出作戦を立てる。
太平洋戦争の物語ではアジアの出来事が多い気がするが、この地域でこんな戦いがあったことは、歴史で習ったかもしれないけど知らなかった。
記録小説の側面だけでなく人物も魅力的で◎、素晴らしい。

流(りゅう) 東山彰良
1970年代の台湾、高校生の主人公が破天荒に生きる。
時代の破茶目茶さ、勢いが面白い。
梁石日風のスピード感で、文章の雑さがやや気になるけど面白さの勢いが上回る。
時代を感じられて○。

トライアウト 藤岡陽子
シングルマザーの新聞記者、スポーツの部署に異動になり、何もわからずにプロ野球のトライアウトの取材に行き、かつては甲子園をわかせたエースという選手に会う。
もうちょっと深さに期待したけど○。

LIFE 本城雅人
かつて高校の名門サッカー部で一緒だった3人が、卒業後にプロ選手、警察官、闇商売とそれぞれの立場で絡み合う。
スポーツが始まりの小説の割に爽やかさはないけど○。

ザーッと降って、からりと晴れて 秦建日子
50代なかばのサラリーマン、早期退職を勧められるも家族とローンを抱えて決めきれず、兄に相談に向かうときに、離婚相談に向かうとおぼしき女性と出会う。
短編の登場人物がつながるお話。
それぞれはありそうな話でつながりもよく○。

終幕のゆくえ 眉村卓
短編集、それぞれ高齢の人が主人公で、高齢なりの出来事考えごとのお話。
面白いけど心が共感していない感じになるのは、自分がその年代になっていないからか。
読みようによっては面白いのだと思うけど△。