例外の場面でどんな仕事をするか2008年12月14日 13時40分26秒

あるお母さんが休日に中学生の息子が高熱を出してぐったりし始めたために休日診療の病院に行ったときの話を聞いた。

そのお母さんの息子は15歳。
休日当番医を調べたら遠い小児科と割と近めの内科があった。
積雪での車の運転にあまり自信がなかったためタクシーでいきたいけど、それなら近い方がいい。
だけど厳密には15歳は小児科(らしい)で、近い方はふつうの内科。
なので、念のためにその内科に診察してもらえるかと電話で聞いた。
すると「いいですよ」との返事なので、ぐったりの息子とともにタクシーに乗ってその内科に行った。

その内科に着いて受け付けの女性にお願いしますと言うと、
「ここでは15歳の診療はできないので小児科に行って下さい」
と言われた。

え?でも電話で確かめてから来たんですと言ったら、受付女性はその電話を受けた隣に座る不慣れそうな男性職員に、子供の診療はできないということをきちんと伝えなきゃと注意し、やはりそのお母さんには「ほかに行って下さい」と断った。
そのお母さんは諦めて遠くの小児科に行って診療を受けたとのことだった。

15歳が小児科かどうかは僕は厳密に知らない。
もしそうだったとしたら、その受付女性の判断は間違いではなかったのだろう。

やっぱり仕事は人で決まるんだなぁと思う。
同じ状況でも人によって対応の仕方は変わっただろう。
事前の電話がなく飛び込みで来たのなら、まずは原則で対応するのが正解だと思うけど、診察できるかどうか確かめる電話をかけてきていて、しかもOKの返事を職員がだしているのだ。
つまり、一本のOKの電話のおかげで、病院の原則論だけで押し通すべきでない、例外の場面になっている。
自分が決まりでしか判断できない立場なのであれば、決まりを超えられる裁量を持つ立場の人に掛け合ってみるという「判断」もありだ。
その受付女性は自分だけで処理しようとしすぎた。
たとえ結論が変わらなくても、解決しようと掛け合ってくれたと思えれば、そのお母さんもそれなりに納得できたんじゃないかと思う。

病院だけではない。
こんな場面はどこの職場でも起こりえる。
当然、僕自身も、僕のまわりでもだ。

仕事は例外の連続。
例外の場面にあたったとき、相手の心境をとっさに想像できるかが信頼の分かれ目なんじゃないかと思う。
例外の場面て、無意識に自分の立場を守ろうとしがち。

とっさに相手の心境を想像できるか、それとも自分の立場での枠でしか考えられないか。
相手の心境がわかったからと言って、こちらがその通りにできるかどうかはわからない。
だけど、相手の心境の想像すらできなかったら、何が求められているか、それに対して何ができるかできないかと考えるステップにも移れない。

日常の訓練なんだと思う。
相手の心境を想像しながら仕事をする。
営業職だけでなく、技術の仕事でも、これは同じなのだ。