やる前からできないって言うな?2008年09月04日 22時50分33秒

またある調査での話。

ある川で魚を目視で確認するという作業の打ち合わせをしていたとき、上流は浅く澄んでいるからいいけど、ある支川が入ってからは水が濁り、流量も増えて水深が深くなるから、それより下流では調査はできないですねと言うと、ちょっと偉い立場の方から「やる前からできないってどうして言えるんだ」と言われた。

前年もその川で調査をしていて現地をずっと見ているので、その作業ができるかどうかはわかります、というようなことを言ったのだけどその方には全然通じない。
その方にとっては、やる前から諦める態度をとられるのが気にくわなかったのだろう。
やってみてからこういう理由でできませんでしたと報告せよということだろう。
こちらがどう説明しようともその方の考えは変わりそうになかったので、その時はそのまま引き下がった。

当たり前だけど、現地に行けば行くほど、現地の雰囲気や状況は詳しくなる。
ましてや調査者はいつも調査の視点で現地を見ているので、現地の知識は増える。
その視点で、できそうにないことは「できません」となる。

やる前からできませんと言うなというのはごもっともなご意見で、やりたくないときのできない理由探しならとがめてもいいだろう。
しかしできないことがほとんど確実なことでも、できないと言うのはやってみたあとだと言うのはちょっと強引すぎる。

仮に、明らかにできないことをやってみて、そのあとに「やってみたけどできませんでした」と言ったらどう言うだろうか。
「できないことくらいやる前から見極めるのがプロじゃないの」とでも言うかもしれない。

最初から「できない」とはっきり言いすぎたんだろうな。
僕だって、ほかの人に何かを頼もうとして簡単に「できません」って言われたら、ちょっとはやり方考えてからできないって言えよって思うかもしれない。
つまりは伝え方の問題もあるってことで、「できない」って伝える場面も、単刀直入に言ったほうがいいときや、少し難しいくらいの言い回しに抑えておいて、相手もできそうにないかなって徐々に思い始めるくらいにしておいたほうがいいような場面もあるのかもしれない。

判断を早くというのが仕事の鉄則のような気が無意識にしているのだけど、いつも早い決着を求めるのでなく、時間をかけて納得してもらうというパターンも持っておければいろんな場面に対応できるんだろうな。