仕事のライバルと親しくなること2010年12月15日 22時26分08秒

あるプロ野球の元有名選手の対談記事を読んだ。
その中で、最近のトップ選手達が、チームを超えて親しくなっているということのいい悪いが書かれてあった。
WBCでほかのチームの選手同士が一体となって戦ったことが、どうやらきっかけのひとつのようだ。
トップレベルの選手同士が刺激を与えあって、技術に磨きをかけて、さらにレベルアップしていくというのはすばらしい。

でも一方で、親しくなることで、厳しい勝負がしづらくなっているという指摘もされている。
前の日に一緒に飯を食いに行った仲の相手に、胸元をえぐるような厳しい球を投げられるかというと、やはり躊躇してしまうようになるのが実際だろう。
昔はそんなことはなかったようだ。
ほかのチームとは、つまりは敵。
戦う相手と親しくなることは、あからさまに禁止しているところもあったくらいだそうだ。

僕の話。
そんなトップレベルのプロ野球選手とは同じではないのだけど、かつて自分が20代とか30代の前半の頃は、同業種のほかの会社の人と親しくなることは全く考えもしなかった。
ほかの会社の人って、つまりは敵でしょって。
ライバルになる立場の人と親しくどんな話ができるのだろうって、親しくしている人をむしろ疑問に思っていた。

ところが、今になって、会社以外の人達と親しくする場面がめっきり増えた。
加速していると言ってもいいくらいだ。
技術士会では、ほかの会社の人と言っても、いろんな分野の人がごちゃまぜだから、必ずしも業務上のライバルとはならないほうが多い。
だから無難と言えば無難なんだけど、最近は、同じコンサルで、しかも同じ河川の分野の人達で集まって研究会のようなことをしている。
本当はライバル同士のはずが、事例や勉強の成果を持ち寄って熱くディスカッションを交わしている。
端から見るととてもいいことだろうが、自分自身の変わりようには自分でも驚く。
他社の人とは絶対に話もしないというくらいにとんがっていた頃の自分は、一体どこに行ったのか。

自分も変わるのだ。
当然だ。
会社が変わり、職場のメンバーも変わり、立場も変わっていき、接する人達も変わることで、自分の意識や興味も変わっていく。
その中で、自分を変えないという頑なさを持つほうが不自然で、興味や関心に合わせて自分が変わっていくほうが自然だ。
ライバルとして口きかずに戦うのもいいけど、お互いそれなりのレベルの者同士が刺激しあって高め合うことで、それぞれの仕事の質が高くなることのほうが、仕事の楽しさにつながるという面もある。
とんがっている部分も残しながらだけど。

プロ野球の話にかぶせて考えると、親しくはなりつつ、勝負の冷静さは残しておいたほうがいいのだろう。
それで結果的にみんなそれぞれがいい仕事できて、仕事が楽しくなればいいのだろうと思う。