謝ることから逃げないために2008年10月30日 23時46分06秒

言いにくいことを相手に伝えないといけない場面ができたらどうするか。
人に謝る場面がその典型例だ。

例えば相手との約束をすっかり忘れてすっぽかしてしまったとき。
仕事なんかでは、人にお願いして苦労して作ってもらった資料が、発注者の意向にそぐわずやり直しになり、また頼みなおさないといけないときもそう。

前者は自分の失敗で、後者は自分の失敗というより別の人の都合なんだけれども、いずれにしても、それを相手に伝える場面って申し訳ない気持ちで、できれば避けたいなぁと思ったりする。

そんなときの伝え方もいろいろだ。

すっぽかしを謝る場面で、直接会うにしても「ごめんごめん」と明るく話しかけることもあれば、「すまない、申し訳なかった」と神妙に頭を下げることもある。
どう謝るかは相手の怒り具合や言葉を交わした瞬間の雰囲気によっても変えたりするだろう。

仕事のやり直しを伝える場面では、仕事だから起こりえることだと割り切って淡々と次の指示を伝える人もいれば、やり直しになった背景を丁寧に説明しながら謝って次のやり方を考える人もいるだろう。
人それぞれだ。

自分の非を認めることで自分の立場が崩れることを気にする人は、謝りつつ長々と弁解を述べたりする。
悪かったけれども、自分にはこんなに正当な理由があるのだと。
こうなると相手にしてみたら、本当に悪いと思って謝られているのかわからなくなる。
許す感情よりむしろ不信感が増したりもする。

悪いと思えば自然と頭を下げるものだろうと思いたいところだけど、子供じゃなければこれまでの人生でいろんな人間関係を経験してきているわけで、その経験の中でしたたかな、かわす術を身につけたり、本音を言わない身のこなしを覚えたりする。

また、謝るにしても、直接会うか電話すればいいものを、メールで「すみません」とただ伝えるだけですまそうとしたりもする。

申し訳ないことを相手に伝える場面ってすごく憂うつになる。
逃げたくなる。

メールの「すみません」はその逃げのひとつだ。
会って怒る顔を見なくてすむし、電話で反論を聞かなくてすむ。
とりあえずは一方的に伝えるだけ伝えて、相手から何も言ってこなければ終わったことにできる。
でも相手と向き合うことを避けている。

逃げたくなる場面では、相手も自分のことを見ていると考えた方がいい。
言いにくいことを電話で申し訳なさそうに伝えてきたら、相手も頑張って伝えてきたんだなと感じられる。
そうすると「いいですよ、気にしないで」と思わず言ってしまうかもしれない。

それが、言いにくいことだからとメールだけですまされたら、あの人は自分と面と向かう勇気を持たなかったなと、許す気持ちが萎えてしまうこともある。
見透かされるのだ。

おそらく人に謝る瞬間って相手への思いやりの気持ちが如実に表れる。
そして、その人の性格が表れる。

自分の気持ちに素直になることだろう。
謝る場面は特に。
そして、素直になれない癖が知らず知らずのうちについてきたとしたら、素直になることを訓練しないといけないのかもしれない。

謝ることは難しい。
いや、本当はそんなに難しいことではないはずだ。