桜木紫乃、湊かなえ、青山七恵、葉室麟、眉村卓、早見和真2016年04月29日 10時27分54秒

小説に出てくる女性は、カッコ良さ、かわいさ、求めるものはいろいろ勝手。

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ワン・モア 桜木紫乃
離島勤務の女医、過去の「みそぎ」のためのへき地勤務も、高校からの同級生の女医が重病で療養するため戻って自分の代わりになってくれないかと頼まれて戻る。
気が強くうわべの優しい言葉を発することはなく、周囲に敵を作るが、理解する人は理解する。
支えが必要な人にとって前向きすぎる人はむしろダメというせりふを書けるというのが作家だなと思う。
啖呵を切って有言実行というかっこよさにも惹かれて一気読み、入り込んで人物を応援したくなる小説で◎、読後感も◎、すばらしい。


望郷 湊かなえ
瀬戸内海の小島、本土との橋ができて人の動きが変わる。
島で育った人、島にやってきた人をめぐる劣等感やいじめとかの日常を描く。
とある地方では現実にこういうことあるのだろうなと思いながら読む。
この作家さんの暗めのトーン相変わらずも○、読後感は△。


私の彼氏 青山七恵
美形でちょっと鈍感な男、なぜか女友達から好かれる。
この小説、文体が散発的というのか独特。
この作家さんの小説は好きだったけど、とても読みにくい。
新境地を立てたかったのかな。
イライラして△、読後感も△。
残念。


螢草 葉室麟
武家に下働きで入った娘、優しく接してくれる奥方と小さな息子、娘との明るく楽しい毎日を送る。
仕える若主人は人柄と行動で藩内での人望を集めるも、罠にかかり捕らえられる。
ユーモアがところどころに散りばめられていて楽しい。
何より読み進めていくうちにこの主人公の娘を応援したくなる。
テンポよく爽快で◎、読後感も◎。
すばらしい。


駅と、その町 眉村卓
高度成長期の郊外の駅で、住宅地の開発が進む中、駅の売店のお姉さん、近くの地元スナックなどで起こる不思議な出来事をつづる。
なんとなくその時代に入り込む感じがいい。
これからの時代で書かれる小説ではこういうストーリーは書けないのではとふと思う。
時代感がよくて○、読後感も○。


6 シックス 早見和真
甲子園のスターエースが東京六大学の早稲田に進む。
本人は直接は関わりないのだけど、普通のレベルの野球選手、マネージャー、就職活動の失敗など、遠いところで彼がつながる。
野球小説というより、若い人への応援小説という感じ。
一生懸命さが報われるということが伝わり○、読後感も○。