荻原浩、田中慎弥、原田ひ香、川渕圭一、津本陽、瀬尾まいこ2014年03月26日 06時26分45秒

好みに合うか合わないか、読んでみないとわからない。
知らない作家さんでも読んでみると面白かったりするから面白い。
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神様からひと言 荻原浩
広告代理店から食品メーカーに転職し、商品企画の脚光部署から苦情相談窓口に異動させられた若手サラリーマン。
屈辱のいちゃもん対応とはきだめのような部署の周りの社員たちにとまどいつつ、ギャンブル狂いでいい加減だけど本質的なところを見抜いて対応するそこでの上司を見習って、苦情相談室の仕事をこなしていく。
話としては面白いのだけど、文体に癖ありすぎな感じ。
「標的を見つけた対空ミサイル砲の非情さで」とか、
「突然、海底火山が噴火するような声がした」とか、
「普段のねちゃねちゃとしたスルメをしゃぶっているような声よりいくぶん朗々とし」なんて、言葉多すぎ。
面白かったけど文章が好きになれない感じで△、読後感も△。

共喰い 田中慎弥
芥川賞を受賞した時、石原慎太郎が「ばかみたいな作品ばかり」と言ったのに対して「もらっといてやる」と売り言葉に買い言葉のようなやりとりをしていた。
その記憶でこの作品気になっていたのだけど、読んでみたら全然ダメだった。
何を伝えようとしているのか伝わってこない。
どこかわからない方言の会話も受け付けず。
期待したぶんだけ落胆で×、読後感も×。
あくまで僕の好みでないということで。

東京ロンダリング 原田ひ香
30代の女性、自分の不倫で離婚して家を出て、住むところを見つけようとして不動産屋に駆け込んだら、住むだけでお金までくれるという仕事をもちかけられる。
前の住人が死亡したとかで借り手が見つかりにくくなった部屋に、ワンクッションおくためにダミーで住むという仕事。
ストーリーとして奥深さとかはあまり感じなかったけど、目新しさと面白さで○、読後感も○。
この作家さん知らなかったけど、ほかの作品も読んでみたいね。

セカンドスプリング 川渕圭一
40代後半の予備校講師、独身で浮いた話もないところに、中学時代の仲間の結婚式に呼ばれ、同窓会にしょうがなく出席することで交友が広がっていく。
主人公が小説を書いて本を出している設定なのだけど、テレビドラマでTV局の内部の話を見せられると面白くないのと同じで、小説家とか編集者が小説の中に出てくるのは僕はあまり好きじゃない。
でもお話全体としては○、読後感も○。

泥の蝶 津本陽
第二次世界大戦中、日本軍がビルマに侵攻していく様子を描いている。
駐留するイギリス軍と比べて日本軍の装備と作戦がお粗末で、負けるべくして負けたということがよくわかる。
小説としては、記録モノという感じで人間味に踏み込むようなところをあまり感じられず。
歴史の教科書のような感じで◯、読後感は?。

優しい音楽 瀬尾まいこ
短編が3本。
表題作は若いフツーのサラリーマン、駅で知らない女の子から見つめられているのに気づき、どうしてかと聞いてみたら「顔が見たかった」を言う。
3本それぞれ設定がやや現実味と離れているかなとも思うけど、最後は優しさに引き込まれる感じになる。
リラックスして読めて◯、読後感も◯。