塩田武士、相沢沙呼、こざわたまこ、両角長彦2017年01月03日 20時28分13秒

つづき。
小説雑誌をばらして読みふける。

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仮縫い 塩田武士
女っ気のない高校男子5人、つるんでエロネタで盛り上がる。
ある日、紳士服の仕立て屋さんに帰っていく美少女に目を奪われる。
10年後、居酒屋で飲み始めたらひとりがニュースをもってくる。
5人のうちの最も冴えなかったひとりが結婚するという。
若い頃の恋愛を思い出す感じで、文章のテンポもよく◎、読後感も◎。すばらしい。


雨の降る日は学校に行かない 相沢沙呼
女子中学生、牛乳とワックスの匂いが入り交じった雑巾を持たされ、くさいと笑われ、クラスみんなから阻害される。
それでも我慢して学校に行き続け、保健室の先生と唯一触れ合いかけるも、やがて登校を断念。
応援したくなる感じで◎、読後感も実は◎。すばらしい。


放課後のピント合わせ 相沢沙呼
女子中学生、帰宅後、ネットに自分のきわどい写真をアップして、コメントで群がる男たちの数を見て満足する毎日。
ある日、同じような女がネットに登場したことでアクセス数が減少、学校での写真希望というコメントを見て、挽回のために学校に出かける。
エッチな内容で進むのかと思いきや意外な展開へ。
救われる感じで○、読後感も○。


死にたいノート 相沢沙呼
女子中学生、死にたいと毎日ノートに書き綴る。
そのノートをあろうことか学校でなくす。
誰かに見られたら大変と探し回ると、クラスの責任感が強い女の子が拾って、これは誰のだろうと心配顔で見せられる。
早く言い出ししたらいいよと本気になる感じで○、読後感も○。


宇宙人の迎える朝 こざわたまこ
学生や社会人が入り交じる中学校の同窓会、おちゃらけていた彼が来ないことを誰も触れない。
幼なじみの彼は、その彼が来れないのが自分のある行動のせいだと背負う。
中学の頃、高校の頃、思い出すといろいろある。
そんな感覚を思い出して○、読後感も○。


姉妹みたいな こざわたまこ
社会人女子、閉園間際の屋上遊園地に寄る。
かつて中学生の頃、母親に反抗し、かっこよく見えた母親の姉のところに入り浸っていた。
子供に見える世界、大人にしか見えない世界、恋愛絡めば人それぞれ。
そういう経験を重ねて大人になるということを感じられて○、読後感は△。


クライベイビー、シスター 櫛木理宇
かつて憧れだった9歳上の姉が裁判所で殺人容疑の公判を受けている。
罪に対する後悔よりもっと重要な後悔があるという。
決して感動する話ではないけれど何かが残る。
何と言ってよいかワカラナイけど◎、読後感は△。


いれかわる 両角長彦
52歳男、31年間収監され死刑が執行される日に、実は自分が犯人ではないと言いだす。
最後の最後まで、結局どっちなのかわからない。
ねじまがりすぎな感じだけど○、読後感も○。


心に残る一冊 両角長彦
あるお母さん、母親友達の振る舞いに感心し、子育ての秘訣を聞く。
すると読書体験だと言う。
ただ普通の読書ではないことをほのめかす。
終結までのスリルが良くて○、読後感は△。


餓死室 両角長彦
名のある女優、息子の素行に手を焼き、地下室で心中を図ろうとする。
息子は言葉であの手この手と母親の決心をくじこうとする。
心の動きが微妙で良く○、読後感は△。


効いてくる 両角長彦
若い男が病院に駆け込んできて、女に毒を飲まされたという。
でも体には症状が現れていない。
そして早く仕事に戻らないと、自分が担っている特殊な役割が果たせないという。
やや現実のようには想像できないけど○、読後感も○。

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