あさのあつこ、小川洋子、辻村深月、森絵都、島本理生、関口尚、梁石日2014年11月02日 13時19分06秒

女性作家の小説が多かった。
期待通り、予期せぬ期待はずれ、読んでみるといろいろ。
-----------------
The MANZAI 5~6 あさのあつこ
4巻で終わりだと思っていたら続きがあった。
高校入試から入学してもコンビは続く。
でもちょっとくどくなってきたかな。
内容的には4巻くらいまでで十分に楽しめた。
ちょっと退屈な感じになって△、読後感はまあ○。


薬指の標本 小川洋子
短編が2編。
持ち込まれるいろんなものを標本にして保管するという事務所のアシスタントの募集を見て女性が勤め始める。
標本の職人からぴったりの革靴を贈られ、いつもその靴を履くようにと言われて忠実に守る。
その標本職人は絶対に作業室には入らないようにと言う。
小川洋子ワールドというか、不思議な文学の世界。
その世界に引き込まれる感じで○、読後感も○。


水底フェスタ 辻村深月
「この村に復讐するためにわたしは帰ってきた」という帯の文句にひかれて読んでみた。
地元のロックフェスで見かけたのは、村を出て芸能界で華やかに活躍していた同級生の女の子。
その背景まではカバーのあらすじには全く書かれていなかったのだけど、村にダムがつくられ、そのために集落が移転し、集落ごとの力関係でその後の生活が決まり、村長の選ばれ方も古くからの慣習があり、それが後世にまで引きづられるということが背景だと読み進めばわかった。
何だ、こういう話なら読まなかった。
著者が何かにピンときて書くべきテーマだと思ったのかもしれないけど、僕にはあまり惹かれるテーマではない。
期待した分だけ落胆が大きくて△、読後感も△。


リズム 森絵都
中学生の女の子、近所の幼なじみのお兄ちゃんは金髪でバンドに夢中。
周りは彼からあまり影響を受けないようにとあまり仲良くしないようにと言うけど、見かけとは違って悪い人ではなく、むしろ真っ直ぐで好き。
著者のデビュー作とのこと。
子供向けなのか大人向けなのかよくわからない感じだけど、そんなことはどうでもいいか。
さらっと読めて○、読後感も○。


大きな熊が来る前に、おやすみ。 島本理生
20代くらいの女の子が主人公の小説が3つの短編集。
島本理生の小説はDVだったり性暴力が背景にあるものが多い。
男のタイプも、ふだんの顔は真面目だけどあるときふと暴力的になるような人物だったりする。
そういうテーマ設定は好きではないのだけど、気持ちの動きの繊細さがよく表されていて好んでよく読む。
これもそういう意味で、テーマは必ずしも好きではないのだけど、どれも心の動きの表現がとてもよくて◎、読後感は○。


シグナル 関口尚
ちいさな映画館のバイト助手で働き始めた大学生の男の子。
補佐することになった映画技師は若い女の子。
この子は3年も外出したままで映画館から出ていないというが、接してみるとそんなに変な女の子ではない。
どうして映画館に閉じこもったまんまなのか、読み進めると見えてくる。
若い人の恋愛ものとしていいんじゃないかという感じで○、読後感も○。


夜を賭けて 梁石日
戦後の大阪での朝鮮人集落(小説のなかの表現)で、ある日ばあさんが工場跡地のくず鉄の中から拾ってきた金属が5万円で売れたということがわかり、皆が我もと宝探しに跡地に向かう。
不法侵入・盗掘なので夜に動き、ドブ川を渡って二匹目のどじょうを目指すも宝はない。
小説ではあるけどおそらく戦後の大阪ではこれに近いことがあったのだろう。
スリル、迫力で一気読み。
こういう小説を書ける人はこれから現れるのだろうかと思うくらいで◎、読後感は○。
すばらしい。

人と話すことでいい仕事ができるというのはわかるけど2014年11月03日 19時45分09秒

ラジオで偉い(らしい)先生が言っていた。
いい仕事をするのにひとりで抱えちゃだめだ。
いろんな人と話をすることでいい仕事になる。

そう、わかる。
ひとりで考えているだけだと自分の中からしか考えが出てこないけど、ひとと話すことで違う視点からの考えが浮かぶことがある。
これはわかる。

でも、大前提として、まずは自分でとことん考えることがあってのことだよね。
何かを求めようとして人と話をしてばかりではだめでさ、自分の考えをまず見つける努力をして、その状態で人と話すといろいろ見えてくる。
ましてや、答えもらおうとして人と話すというのは本末転倒。
自分の仕事が人の考えでの仕事になっちゃう。

作業しながらただ何となく聴いていたラジオなのに。

これから維持管理の時代と言われて2014年11月04日 21時53分29秒

これからは維持管理の時代で、これまでにつくられたモノを更新・維持していくのだという話、公共事業に関わる仕事についているから特に聞き飽きるほど耳に入る話であるが。

問題としては、昔ほどの景気回復が見込めないとすれば、公共投資に回すカネがどんどん増えるというわけにはいかず、つまり回ってきたカネは維持管理につぎ込まれていくということになり、新しいモノがつくれないということがよく言われる。

まあそれでもいいじゃないかという見方もあるけどそれは置いといて。
その分野の実務にどっぷりはまる身として、もうひとつ大きな懸念が頭をよぎる。

維持管理が中心だといわれて、やる気ある人がどれだけ入ってくるのだろうか。
維持管理という言葉に魅力を感じて勢いよく飛び込もうという人っているか?
いないとは言わないけど。

僕らより30年くらい前に、まさに高度成長期に働き盛りでガリガリと仕事していた世代はおそらく仕事が面白くてしょうがなかっただろうと思う。
世の中の勢いを感じ、世の中から求められるモノを生み出すことに対する無意識のやりがいを感じて仕事をどんどん進められる。

前の世代がつくったものをきちんと管理・更新してちょーだいと言われるところに、よし私がそれをやってやろうと積極的に足を踏み入れたいと思うひとがどれだけいるか。
やる気に満ち溢れている人はたいがいは新しいものを生み出すところを目指す。

仕事って、意識の高い人がやるのとほどほどの意識の人がやるのとで、出来は全く違うということが仕事を20年近くやってきてわかった。
やり方や技術が構築されている分野で仕事の質が高くなるのではなく、そのときに高い質を求めようとする人がいる仕事の質が高くなる。
仕事の質はマニュアルに左右されるのではなく人に左右される。

こういう総論としての暗い話だけすると先行き真っ暗ということになってしまう。
もし若い人に何かを伝えるとすれば、総論ではなく、それでも個々の仕事は面白いという各論と、総論を語るとすれば、それが世の中の人のどれだけの役に立っているかという永久不滅の基本論になるのか。
それも悪くないけど熱意をもって語れるか。

職場、仕事、合理的、諸々の考えごと2014年11月05日 21時31分44秒

昔、久米宏が当時の相棒役になる小宮悦子に、24時間仕事のことを考えてくれますかというようなことを言ったというインタビュー記事を読んだことがある。
例えば今の時期はプロ野球選手はシーズンが終わって一息つくところだけど、トップを維持している選手やレギュラーとりたいと思う若手は24時間野球のことを考えて練習しているというニュースを見る。
当然オフとの切り替えは大事で、家に帰ったらくつろぐのもいいのだけど、休むことより練習してうまくなって生き残ることのほうが彼らには重要ということなんだろう。
普通の人でも、家に帰っても仕事のことばかりを考えているような仕事人間になる必要はないのだけど、でも自分が壊れない程度にならそれでもいいとも思っている。
多少休む時間に割り込んででも仕事のことを考えて、そうやって自分が考えることで仕事がうまく進んで、自分の仕事でまわりに喜んでもらって、それで自分も楽しくなるのであればそれが仕事のシアワセ。
それでもまあほどほどに、蛇足。


伸びるか伸びないかだけでなく、化けるか化けないか。
きちんと仕事をしているとその積み重ねできちんと伸びる。
だけど伸びる人が化けるとは限らない。
ではどんな人が化けるのか。
ひとつに、先を見ている人なんだな。
見ているところで差が表れる。
いまやっていることのその先に何があるのかを自然と考えることができる広さ、深さ。
もちろん日々のコツコツとした努力も前提。


仕事だけでなく日常生活もいかに合理的にするか。
うまく生きているなという優越感に浸れると自分が世の中の勝者のような気分になる。
実際、このずっと続く不景気のなか、ムダな出費を防がないと懐に金が残らないという現実もあり、いかにうまく生きるかということに知恵を注いて、その達成感に満足する。
が、そればかりに自分の発想が流されないようにしたい。
金だけじゃないというありふれた言い方でもない。
合理的だけではない価値観も大事にしたいということ。


仕事でも育ちの良さ悪さというのが表れる。
人の指示でやっつけ仕事ばかりやってきていると、仕事のやり方がみなやっつけ仕事になってしまう。
前向きにとらえて突き進むような人と一緒に仕事をしてきた人は、自分の仕事でも前向きに面白く仕事をしようとする。
でも若い頃は、自分がそうやって周りの影響で形づくられていってるということを、その時にはわからないんだな。
育ったあとで、自分がどんな仕事をする人になったかが表れてしまう。
そういう意味で職場の上司が下に見せる態度ってとても大事なんだな。

釧路12014年11月06日 20時07分57秒

このところ毎週の釧路。
札幌から列車の中ではずっとパソコン作業。
実際、出張の移動時間は仕事がとてもはかどる。