真保裕一、小川洋子、島本理生、青山七恵、曽根圭介、桜木紫乃2014年08月19日 06時12分07秒

主に通勤電車と出張の移動中に読むのだけど、面白すぎると出張の列車のなかで本から離れられなくなり仕事に手をつけられず困ることあり。
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ホワイトアウト 真保裕一
真冬、雪深い山奥の巨大ダム群の管理所が数人の集団に占拠される。
決壊させられると人質だけでなくふもとの街まで被害が及ぶ状況で、巨額の用意を要求される。
かつてそのダム管理所で働いていた男を雪山の遭難で亡くした恋人女性が、管理所を訪れたことで事件に巻き込まれる。
かつて映画にもなったそうでスリリングで面白いのだけど、少し展開が込み入り過ぎな感じでしんどくなった。
悪くはないのだけど△、読後感も△。

まぶた 小川洋子
短編集。
地味な民家で老女が開く料理教室に、華々しくない料理教室に通いたかったという女性が訪れる。
が、先生の老女は料理を自分でぱっぱとつくり生徒にやらせない。
そこにいかにもインチキな配管掃除の業者が現れ、排水管の中を掃除し始めたら流れていってたはずの野菜やらのゴミが逆流してどんどん湧き出て、そして出てきた人参のかけらをつくりかけのシニューに入れてしまう(お料理教室)。
どれもなさそうでありそうな不思議な話。
昔の文学作品という雰囲気で◯、読後感も◯。

君が降る日 島本理生
大学生の女の子、彼氏をドライブ中の事故で亡くす。
その車を運転していた先輩が、彼氏の実家の食堂に現れ店を手伝うようになる。
亡くなった彼氏の先輩と親しくなるも、距離をつかめない。
別の大学生と付きあおうとしても本気になれない。
本気で好きな彼氏が突然死んでしまうときの心境ってわからないし、想像したこともないし、想像しようとも思わないけど、入り込むと主人公をそっと応援したくなる。
そんな感じで◯、読後感も◯。

窓の灯 青山七恵
20代女性、大学に行かなくなり、手伝う喫茶店の2階に居候する。
窓からは隣のアパートが近く、向かいの窓から見える男と彼女が気になり毎日観察するようになる。
人のことは気にしないと思っても少しずつ気になっていき、やがておせっかいな感覚をもつようになる気持ちの動きがさり気なく描かれる。
無理やりの展開がなくて気持ちが入れて◯、読後感も◯。
一緒に入る短編「ムラサキさんのパリ」もいい。

沈底魚 曽根圭介
警視庁外事課の警察官、中学の同級生女性にばったり出会うも、その女性が自分が担当している中国のスパイ捜査に関係していることがわかる。
日本と中国とアメリカの人を介しての騙し合いを解きほぐしていく。
スパイがおとりだったり、みせかけのおとりだったり、読んでいるうちに頭がついていかなくなるけど面白い。
よくこんな小説書けるなという感じで○、読後感も○。

凍原 桜木紫乃
直木賞受賞前の小説。
釧路湿原で若い男性が殺される。
その事件を追う女性警察官は子供の頃に弟が釧路湿原で生き物を捕りに行って行方不明になっている。
男性の過去を遡ると敗戦で樺太から命からがら北海道に戻った祖母が浮かぶ。
夜9時からの2時間ドラマによく似合いそうなストーリーだなと思いつつ、北海道の昭和からいままでの時代背景の一面がわかる感じで◎、読後感も○。
すばらしい。
ちなみに僕と同じ北海道江別市在住だそうだ。

北大2014年08月19日 12時39分04秒

ついこの間まで隣の机で仕事をしていた元同僚A君の博士論文公開説明会があり北大へ。
今日はあいにくの雨。
でも発表は良かった。
博士も彼にとってはひとつのステップで、これからますます活躍されることでしょう。