上司はどう変わるべきなのか2009年09月06日 12時29分24秒

「上司が変わらなければいけない」

いまどきの若い人を部下に持ったとき、年の離れた上司はその若い部下とどう接すればいいか。
新聞や雑誌などでそんな特集が組まれたとき、決まって言われるのがこの「上司が変わるべき」という主張だ。

いまどきの人は納得しないと動けないので、その仕事の目的とか根拠をきっちり説明してやって理解させるといい仕事をするようになるとか、ワークライフバランスを保証してやるという意味で休みはきっちり与えるとか。
逆に昔のようにつべこべ言わずにやれという態度では、部下はやる気出さないとかとも言われる。

先日参加したコーチング研修でも、部下のやる気を引き出すには部下の言い分を聞いてやり、部下が主体的に仕事できるような環境づくりをすべきなのが上司なんだという考え方を教わった。

そうだ、その通りだ。
自分たちが部下で仕事してた頃の上司を見習うように、頭ごなしで指示して仕事をやらせるのがいい上司ではないというのは正解だろう。
「だけど・・・」と言って、それでも自分なりの上司像を崩さない言い分を説明しようとしたら、そんなこと言ってると部下は生き生きと仕事しないよと言われてしまいそうだ。

だけど。
部下に優しくすることが理想的な上司像かというとそうじゃないよね。
全て納得しないと仕事できないという部下ができて、それもまぁしょうがないかと許容したとして、仕事って必ずしも正論だけでは進まないときもある。
理不尽だなって思う局面に出くわしたとき「理屈が納得いかないからこの仕事できません」って部下から言われたらどうする?
部下に理屈を説明しきれなくて、上司が部下の仕事をやるようになるのだろうか。

つまりね、部下への接し方が強制的でなく優しいというだけが上司に求められる態度じゃないってことなんだ。

でも、変わるべきは上司ではなくて部下と言いたいのではないよ。
むしろ逆で、やっぱり変わるべきは上司。
わかりにくいね。
上司自身がね、自分が下で仕事していたときの感覚を抜け出して、上の立場としての見方に変わらないといけないんだよ。

自分が下のときって、与えられた仕事をこなすことがまずは求められるよね。
だから、目の前の仕事に集中してればいいんだ。
仕事の成果をまず大事にすればいい。

でもね、上になるとそれだけじゃあすまないよね。
下ができるわけだから、少なくとも自分の下についた人に対して仕事を教えるとか、育てるとか、働きやすい環境を整えるとかいろんなことを考えないといけなくなる。
さらに、上にも近くなって上からの要求ごとも増えたりして、つまりは上も見ないといけないし、下も面倒見ないといけなくて、気配りの量がどどーんと増えちゃうんだよね。

そうやって立場に応じて態度を変えられればいいんだけど、相変わらず「俺は俺の仕事をやるだけ」というような、個人の枠をこわさずに上司になってしまうと、そんな人についた部下は大変なことになるんだ。
自分の仕事しか興味がないわけだから、部下が仕事で苦しんだとしても、部下自身の問題としてしかみなせなくなる。
極端だと「できなきゃ辞めな」という態度にもなる。
各々が部署のなかで仕事をしているのなら、個人の問題として片付けられることはほとんどないはずなんだよ。
むしろ部下の問題も、仕事に関することなら上司の問題って考えた方がいい。

そういう意味でね、上司が変わるべきなんだ。
上司になる時点で自分を変える。

目の前の仕事だけをこなせばいいという立場から、仕事をこなしながら部下を育てるという立場になることで、自分で意識して考え方も変える。
さらに周りのほかのメンバーに対しする思いやりも出てくれば最高だね。

そんなこと当たり前だろうって言われるかもしれないけど、どうもね、当たり前じゃないのかもしれないから。