道路の「注意!」看板は無責任か2007年11月29日 21時42分38秒

24日付け朝日新聞の夕陽妄語で評論家の加藤周一氏は、道路の交差点でしばしば見かける「事故多し」「注意!」の看板について、その場所が危険なのであれば危なくないように改善すべきで、看板を立てるだけで平然としているのは途方もない時代錯誤で責任感がないという主旨の文を寄稿されている。

しかし果たしてそうだろうか。

加藤氏は病気を引き合いに出し、病気の原因を知りその原因を除いて病気を治すのと同じように、原因を抑えれば事故は減るに違いないと述べている。

確かにそうだ。
その交差点で事故が多い原因を調査し、それを軽減できる策を講じれば事故は減るだろう。

しかし道路の場合は道路を危なくないように改善するだけが
対策ではない。
見通しの悪さなど道路そのものの構造上の欠陥はできる限り改良すべきだが、運転手の注意が前方からそれる要因がほかにある場合や、歩行者に原因がある場合は道路を改良する前にその原因を取り除く必要があり、その策が看板の場合だってあるだろう。

道路は人工物である以上、管理者が安全を維持する役割を負うことになるが、どこまでの安全を保証できるかは実はコストとの兼ね合いとなる。

安全に金を惜しむべきではないと言いたくなるが、安全のためなら公共の予算をいくらでもつぎ込んでいいという議論にはならない。

注意喚起の看板について問題提起をするのであれば、看板を立てるという方法が安全策を綿密に検討して得られた結果なのかどうかを指摘すべきで、看板を立てるだけの対策があたかも短絡的で無責任な方法だと決めつけて言うのは、評論家として恣意的すぎるのではないだろうか。

役人がやることは片手落ちだという、自身の先入観と世間の風評に乗っかって論評されているように感じたが、ふとした思いつきの考えで他人を責めるのではなく、世の中を良くするための新しい視点、深い洞察力に基づいた独自のアイデアを評論家には求めたいところである。

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